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2 損害賠償責任

(2) さまざまな関係者の責任
(リ) 未成年者による交通事故と親の責任

Q. 未成年者が自動車で人身事故を起こした場合、その親が被害者に対して損害賠償責任を負うことはありますか
A
  • 責任能力
    (1) 未成年者は、他人に損害を加えた場合において、自己の行為の責任を弁識するに足りる知能(責任能力)を備えていなかったときは、その行為について賠償の責任を負わないとされています(民法712条)。
    (2) そして、未成年者が責任能力を備えていなかったために、その責任を負わない場合は、その責任無能力者を監督する法定の義務を負う者(監督義務者。典型的には、親)は、監督義務を怠らなかったこと、または、監督義務を怠らなくても損害が避けられなかったことを証明しない限り、未成年者が第三者に加えた損害を賠償する責任を負うとされています(同法714条)。
    (3) この民法714条の監督義務者責任は、未成年者の親であれば常に負う責任ではなく、未成年者に責任能力がない場合にのみ発生するものですので、注意してください。
    (4) 責任能力は、何歳になれば認められるというような一定の基準が定められておらず、ケースバイケースで判断されます。大正時代の裁判例では、11歳1か月の少年につき責任能力を肯定したケース、12歳2か月の少年につき責任能力を否定したケースがあります。平成に入ってからの裁判例では、12歳3か月の少年の責任能力を肯定したケース、11歳7か月の少女の責任能力を否定したケースがあります。これらの裁判例からすると、実務上、概ね12歳前後が基準となっていることがわかります。
  • 未成年者に責任能力がある場合の親の責任
    (1) 未成年者に責任能力があれば、親は一切責任を負わないというわけではなく、親(監督義務者)の監督義務違反と未成年者の起こした人身事故との間に、通常あり得ないことではないという程度の因果関係(相当因果関係)があれば、未成年者の親は民法709条の一般不法行為責任を負うとされています。
    (2) そして、親の監督義務違反が認められるためには、未成年者が事故を起こす具体的な危険性があるにもかかわらず、これを放置した結果、事故が発生した場合であることが必要とされています。具体的には、
    (a) 未成年者が危険な運転をしているのを親が現認しながら、これを制止しなかった等、監督が現実に可能な場合、
    (b) 未成年者に事故歴、スピード違反・飲酒運転等の前科・補導歴があるにもかかわらず、未成年者の運転を制止する等の配慮に欠けた場合、
    (c) 高熱、飲酒、過労等、運転するには適切でない未成年者の肉体的または精神的状態を認識できたにもかかわらず、その運転を制止する等の配慮に欠けた場合
    です。
  • 運行供用者責任
    以上の民法上の損害賠償責任とは別に、自動車が親の名義で、保険契約も親が締結している場合、親もその自動車を使用していた場合、ガソリン代等の維持費を親が負担していた等の場合は、親が被害者に対して運行供用者責任を負うことになります(自動車損害賠償保障法3条)。