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2 損害賠償責任

(2) さまざまな関係者の責任
(ヌ) 緊急自動車による交通事故

Q. パトカーや消防車等の緊急自動車に追突された場合や、パトカーに追跡されている自動車が事故を起こした場合に、緊急自動車の管理者である国や地方自治体等に損害賠償を請求することはできますか
A
  • 緊急自動車とは
    (1) 緊急自動車とは、消防車、救急車その他政令で定める自動車で、緊急用務のため、サイレンを鳴らして、赤色の警光灯をつけているものをいいます(道路交通法39条1項、同法施行令13条)。ただし、パトカーが速度違反車両の取締りをする場合で特に必要がある場合には、サイレンを鳴らさなくてもよいとされています(同法施行令14条)。
    (2) 緊急自動車は、消防署、警察署、自衛隊、検察庁、刑務所等の公務所の用務に使用される自動車に限られず、民間の病院、電気事業、ガス事業、輸血用血液業者、道路管理会社等の公益目的で緊急性の高い業務に使用される自動車も含まれます。
    (3) そして、緊急自動車は、通行区分や、右左折・転回禁止、一時停止等の交通規制に従わなくてもよいものとされています(同法39条~41条の2)。
  • 緊急自動車の管理者の責任
    (1) 緊急自動車は、上述のように、交通規制に従わなくてもよいとされていますが、だからといって、交通規制を守って走行している一般車両に追突等して損害を与えたときに、一切損害賠償責任を負わないということにはなりません。
    (2) 左右の安全確認をせずに、赤信号の交差点に進入して、一般車両に衝突した緊急自動車の責任を認めたケース、
    (3) 速度違反車両を追尾中に、交差点を右折するために停車している一般車両を認めたにもかかわらず、右折車に注意せず、直進して右折車と衝突した覆面パトカーの責任を認めたケースがあります。
    (4) また、緊急自動車自身が被害者に追突した場合とは異なり、パトカーが交通違反車両等を追跡中に、その違反車両等が事故を起こして第三者を負傷させた場合について、違反車両が幅員5.5ないし8.5メートルの一方通行の道路を逃走し、それをパトカーが時速50ないし60キロメートルで追跡していたケースで、「他に手段方法がなく、第三者に損害を与えることが避けられない場合であって、かつ、その追跡によって得られる社会的利益が第三者の損害を凌駕する場合にのみ、パトカーは責任を負わない」とした上で、このような追跡は第三者の生命身体に危害を与える可能性が極めて高いこと等から、パトカーの責任を認めた裁判例があります。
    (5) バイクで暴走行為をしていた高校生に対し、追跡していたパトカーが時速80ないし90キロメートルで並走しながら、3度にわたり幅寄せをしたため、バイクが道路標識に激突し、高校生が死亡したケースで、パトカーの責任を認めた裁判例もあります。
    (6) なお、緊急自動車の管理者に対する損害賠償請求の法律上の根拠は、パトカー、消防車等の公用車の場合は国家賠償法1条1項、民間の自動車の場合は民法709条になります。