2 損害賠償責任
(2) さまざまな関係者の責任
(ヲ) 自動車事故と医療過誤が競合する場合
| Q. | 自動車で追突されて怪我をしたため、病院に運ばれて医師の治療を受けたところ、担当医師の医療過誤により症状が悪化した場合、被害者は自動車事故の加害者と担当医師に対して損害賠償を請求することはできますか |
| A |
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共同不法行為責任
数人が共同の不法行為によって他人に損害を加えたときは、各自が連帯してその損害を賠償する責任を負うとされています(共同不法行為責任。民法719条1項)。
本件のような場合、自動車事故の加害者と担当医師に共同不法行為責任が成立し、両者は被害者に対し、連帯して損害を賠償する責任を負います。
この連帯責任とは、生じた損害に対する責任の割合が共同不法行為者間で異なる場合であっても、被害者は両者のいずれかに対して全額の請求をすることができるということです。
したがって、例えば、損害額が100万円という場合で、共同不法行為者の一方(A)が1割の責任、他方(B)が9割の責任というような場合であっても、被害者はAに対して100万円全額の請求をすることができますし、または、Aに対して70万円、Bに対して30万円を請求することもできます。そして、自分の責任割合を超えて賠償した共同不法行為者の一方は、他方に対して自分の責任割合を超える部分を請求することができます(共同不法行為者間の求償の問題)。 - 被害者から損害全額の賠償を請求された共同不法行為者の一方は、自分の責任割合に応じた金額だけを支払えばよいかどうかが議論されますが、判例はこれを否定しました。したがって、例えば、自分の責任割合が3割だったとしても、被害者から損害全額の請求をされれば、あくまで全額を支払わなければなりません。