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3 損害賠償の範囲

(3) 消極損害
(ニ) 給与所得者の逸失利益

Q. 自動車事故で死亡または後遺症が残った給与所得者の逸失利益はどのように算定されますか
A
  • 給与等収入
    (1) 逸失利益の算定は、事故当時の被害者の労働の対価としての収入を基礎とするのが原則です。給与所得者の場合、勤務先からの源泉徴収票等により証明することになります。
    (2) 逸失利益にカウントされる収入には、本給のほか、扶養家族手当等の諸手当(ただし、通勤手当等の実費手当は、労働の対価ではないため含まれません)、賞与も含まれます。
    (3) 現実の収入額が賃金センサスの平均賃金額を下回る場合、原則として、現実の収入額を基礎とします。しかし、およそ30歳未満の若年の給与所得者であって、将来、賃金センサスの平均賃金程度の収入を得られる蓋然性が高い場合には、賃金センサスの平均賃金を基礎とした裁判例があります。
  • 昇給
    将来の昇給については、被害者の勤務先に昇給規定等があり、それに従って昇給する可能性がある場合には、昇給を考慮して逸失利益を算定されます。昇給規定がない場合にも、将来昇給する可能性が認められる場合には、将来の昇給を考慮した裁判例があります。
  • ベースアップ
    実務上、口頭弁論終結時までに行われたベースアップについては逸失利益の算定にあたって考慮されますが、将来のベースアップについては、不確定で予測し難いことから考慮されないのが通常です。
  • 退職金・恩給・年金
    勤務先に退職金規程がある場合、死亡時に勤務先から支給された退職金と、定年まで勤務すれば支給されていたであろう退職金額との差額が逸失利益となります。  恩給や厚生年金等の各種年金も逸失利益とされます。
  • 定年から67歳までの期間の逸失利益
    通常、企業では60歳前後が定年とされていますが、この場合でも、定年後67歳までは就労可能なものとして逸失利益を算定します。ただし、定年後の逸失利益は、減額されるのが通常です。定年から67歳までの期間は、
    (1) 賃金センサスの年齢別平均賃金によって算定した裁判例と、
    (2) 退職時の収入の一定割合によって算定した裁判例
    があります。