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3 損害賠償の範囲

(3) 消極損害
(ヘ) 違法収入と逸失利益

Q. 自動車事故の被害者が違法行為により収入を得ていた場合、その収入によって算定した逸失利益を賠償する必要はありますか
A
  • 自動車事故の被害者が違法行為により収入を得ていた場合に、その収入により算定した逸失利益の賠償が判決によって認められるとすれば、裁判所が違法行為を是認することになりかねません。他方、違法行為といっても、犯罪を構成するものから行政法規違反にすぎない場合までさまざまであり、違法の程度が軽微であって、必ずしも逸失利益の賠償を一切否定するまでには至らない場合もあります。
    裁判実務上も、法律の趣旨や社会的影響等の事情を考慮して、違法性の程度が低い場合は逸失利益の賠償を認め、違法性の程度が高い場合は賠償を否定しています。
  • 窃盗、詐欺、賭博、麻薬の売買等の犯罪行為による収入が逸失利益として認められることがないことはもちろんです。
  • 自動車事故の被害者が、無免許で自動車運送業を行っていた場合に、
    (1) 休業による逸失利益の賠償を肯定した最高裁判例、
    (2) 逸失利益の賠償を全面的に否定する下級審裁判例、
    (3) 逸失利益の賠償を全面的には否定しないものの、減額して肯定した下級審裁判例、
    (4) 逸失利益としての賠償は否定しつつ、慰謝料の算定にあたり逸失利益を考慮した下級審裁判例
    等があります。
  • 自動車事故の被害者が、無免許であん摩業を行っていた場合に、逸失利益の賠償を否定した下級審裁判例があります。医師法や、「あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師等に関する法律」は、医療やあん摩等の行為が国民の生命・身体に重大な影響を及ぼすものであることから、免許制とし、厳格な要件を定めています。このような法律の趣旨からは、無免許者に対しては逸失利益の賠償を認めないとする見解が有力です。
  • 自動車事故の被害者がいわゆるソープランド嬢の場合に、
    (1) 逸失利益を全額否定した下級審裁判例と、
    (2) 同世代の平均賃金程度の収入を逸失利益として認めた下級審裁判例
    があります。