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3 損害賠償の範囲

(3) 消極損害
(ヲ) 年金ないし恩給生活者の逸失利益

Q. 年金や恩給に頼って生活していた自動車事故の被害者が、死亡または後遺症が残った場合、逸失利益の賠償は認められますか
A
  • 問題の所在
    年金は、その受給権者だけが受給できるものであって、相続の対象にもならないとされているため、特に被害者が死亡した場合に、逸失利益としての賠償は認められないという考え方があります。また、逸失利益とは、労働の対価としての収入を得られなくなったことによる損害であるところ、年金は労働の対価として受給するものではないため、逸失利益としての賠償は認められないという考え方があります。
  • 実務の立場
    (1) 判例は、ア国民年金、イ障害基礎年金・障害厚生年金、ウ地方公務員の退職年金、エ普通恩給につき、逸失利益を認めています。
    (2) 他方、ア障害年金のうち、受給者に子と配偶者があることに基づき加給されていた分、イ遺族年金については、判例は逸失利益を否定しています。
  • 生活費控除
    逸失利益の算定における生活費の控除については、年金は生活費に費消される可能性が高いとの理由で、一般の場合よりも高い割合で生活費控除がなされる場合が多いようです。また、年金の他に不動産の賃料収入等の収入がある場合や、年金額が高額の場合よりも、年金額が少額で年金の他に収入がない場合の方が、高い割合で生活費控除がなされることが多いようです。
  • 受給資格と逸失利益
    年金保険料を一定期間納めることにより受給資格を有している場合は、逸失利益の賠償が認められますが、若年者であって保険料納付の期間が短く、まだ受給資格を取得していない場合には、将来年金を受給できるかどうかが未確定であることから、逸失利益の賠償は否定されます。