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3 損害賠償の範囲

(3) 消極損害
(カ) 外国人の逸失利益

Q. 自動車事故で外国人に怪我を負わせてしまった場合、損害賠償額はどのようにして算定するのでしょうか
A
  • 法律の適用
    外国人に自動車で怪我を負わせた場合は、日本法が適用されるので、損害賠償額の算定も日本人の場合と全く同じです。外国人を死亡させた場合には、その遺族が損害賠償を請求しうるかどうか、および、請求しうるとした場合の賠償額については、その外国人の本国の法律および判例に従います。
  • 外国人の分類
    (1) 外国人は、大きく、(イ)永住者、(ロ)一時的滞在者、(ハ)密入国者のように何ら在留資格を有しない者に分類されます。そして、(ロ)の一時的滞在者は、さらに、(a)就労可能な在留資格を有する者、(b)就労可能な在留資格を有するものの、在留期間を経過してしまっている者、(c)就労可能な在留資格を有しない者、(d)就労可能な在留資格を有しない上に、在留期間を経過してしまっている者に分類することができます。
    (2) 治療費等の現実に支出した、または、支出を要する積極損害については、実費相当額が損害となるため、外国人の分類によって損害額の算定に差異が生ずることはありません。
    (3) 他方、逸失利益や休業損害については、日本国において就労可能であるかどうか、就労可能であるとした場合のその期間によって、それぞれ差異が生ずるため、外国人の分類によって損害額の算定が異なります。
  • 外国人の逸失利益、休業損害
    (1) 永住者については、日本人と全く同様に損害額を算定します。
    (2) 就労可能な在留資格を有する外国人については、原則として、日本で得ていた収入を基礎として算定しますが、在留期間経過後は、在留期間の更新の可能性を考慮して、日本国における就労可能期間を定め、就労可能期間経過後は、本国における賃金水準を基礎として算定することになります。
    (3) 就労可能な在留資格を有していない外国人であって、実際に日本で就労していない外国人については、本国の賃金センサスや収入により算定することになります。
    (4) 就労可能な在留資格を有しない外国人であって、不法に日本で就労していた外国人(もともと就労資格を有しない場合、在留期間の経過により就労資格が失われた場合)については、就労内容が公序良俗に反しなければ、逸失利益は認められますが、その算定方法については争いがあります。実務上、死亡後または症状固定後3年程度は日本国における実収入を基礎に算定し、その後は本国における収入額や賃金センサスを基礎に算定される傾向にあるようです。
    (5) 密入国者についても、(4) と同様に考えることになると思われます。
    (6) 結局、日本国において在留期間が更新され、就労資格が継続することが予測される場合には、日本国での収入額を基礎として算定し、もともと就労資格がない場合や就労資格の継続が見込めない場合には、本国あるいは日本国からの出国先での収入額や賃金センサスにより算定されるということです。
  • 慰謝料
    慰謝料額の算定については、日本の所得水準、物価水準、貨幣価値等を考慮して定額化されていますが、外国人にもそのまま適用すべきかは問題となっています。