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3 損害賠償の範囲

(6) 損益相殺
(ハ) 社会保険給付金

Q. 自動車事故の被害者が、社会保険給付を受けた場合、社会保険給付相当額は損害賠償額から控除されるのですか
A
  • 社会保険と損益相殺
    自動車事故にあったことにより、雇用保険、厚生年金保険、国民年金保険、各種健康保険、労働者災害補償保険(労災)等の社会保険を受けた場合に、加害者の損害賠償額からこれら社会保険給付相当額が控除されるかどうかについては、実務上、統一した取扱いはなされていません。
    この点については、被害者に給付した保険金を加害者に求償できるとする規定の有無によって、損益相殺すべきかどうかを判断しているようです。
  • 健康保険
    健康保険給付金については、被害者に給付した保険金を加害者に求償できるとする規定があるため、実務上、損益相殺が認められる傾向にあります。
  • 労災保険
    労災保険給付金の種類によって、加害者に求償できるとする規定があるものとないものとがあり、求償規定があるもの、具体的には、
    (1) 休業補償給付金、
    (2) 療養補償給付金、
    (3) 障害補償一時金、
    (4) 遺族補償年金、
    (5) 葬祭給付・遺族年金前払一時金、
    (6) 傷害補償年金前払一時金、
    については、損益相殺をした裁判例があります。
    他方、求償規定がないもの、具体的には、
    (1) 休業特別支給金、
    (2) 障害特別支給金等の特別支給金、
    (3) 傷病特別年金、
    (4) 障害特別年金、
    (5) 遺族特別年金・遺族特別一時金・遺族特別支給金、
    については、損益相殺しないとする裁判例があります。
  • 将来の保険給付金
    支給を受けることが確定した遺族年金については、損害賠償額から控除(損益相殺)する一方で、いまだ支給を受けることが確定していない将来の遺族年金については、損益相殺しないとする最高裁判例があります。
    労働者災害補償保険法による障害年金、厚生年金法による障害厚生年金についても、確定した年金については損益相殺し、将来の年金については損益相殺しないとする裁判例があります。