携帯電話の方はこちらからお入り下さい。

3 損害賠償の範囲

(6) 損益相殺
(ニ) 遺族扶助料・遺族年金

Q. 自動車事故の被害者が死亡した場合で、被害者が国家公務員であった場合に、遺族扶助料や遺族年金は損害賠償額から控除されますか
A
  • 恩給と遺族扶助料の損益相殺
    国家公務員は、退職後、恩給が支給されますが、国家公務員が死亡した場合、その遺族に対して遺族扶助料が支給されます。
    そして、被害者の遺族は、事故がなければ被害者本人が得るはずであった恩給相当額について逸失利益として加害者に損害賠償を請求できますが、実務上、その損害賠償額から遺族に支給される扶助料額が控除される取扱いとなっています。
  • 恩給と退職手当・遺族年金・遺族補償金
    国家公務員が死亡した場合に支給される退職手当、遺族年金、遺族補償金については、配偶者と子が遺族のときは、これらの受給権者は配偶者と定められていることから、これらの受給額は配偶者の損害賠償額からのみ控除(損益相殺)すべきであり、子の損害賠償額からは控除すべきでないとした判例があります。
  • 将来の給付と損益相殺
    支給を受けることが確定した遺族共済年金については、損害賠償額から控除し、支給を受けることが確定していない将来の遺族共済年金については損害賠償額から控除しないとした裁判例があります。
  • 損益相殺の対象
    以上による損益相殺の対象は恩給の逸失利益のみであり、その他の逸失利益を対象として損益相殺することはできません。たとえば、元国家公務員であり恩給の受給権者であった者が、民間企業に再就職し、民間企業における給与の逸失利益についてのみ損害賠償を請求している場合には、遺族扶助料等による損益相殺は認められません。