携帯電話の方はこちらからお入り下さい。

3 損害賠償の範囲

(7) 過失相殺
(ハ) 幼児の飛び出しと過失相殺

Q. 自動車を運転中、幼児に怪我を負わせてしまいましたが、幼児が突然飛び出してきた場合でも、運転者は被害者に生じた損害の全部を賠償しなければならないのでしょうか
A
  • 過失相殺と事理弁識能力
    被害者自身に何らかの過失(落ち度・不注意)がある場合には、過失相殺によって、加害者の賠償すべき損害額が減額されることがあります。ただし、過失相殺が認められるためには、被害者に事理を弁識することのできる知能(事理弁識能力)が必要とされています。そして、この事理弁識能力があるかどうかの判断は、被害者ごとに異なるものですので、年齢だけで判断されるものではありませんが、5歳3か月、5歳9か月の小児に事理弁識能力を認めた裁判例があります。しかし、2、3歳の幼児が被害者である場合には、事理弁識能力がないものとして、その幼児自身の過失については、過失相殺が認められないことになるでしょう。
  • 被害者側の過失
    被害者にも何らかの過失がある場合に、その被害者が2、3歳の幼児であるからといって、損害賠償額が減額される可能性が一切ないわけではありません。
    判例は、
    (1) 民法722条2項の「被害者の過失」とは、単に被害者本人の過失のみでなく、広く被害者側の過失をも含み、
    (2) 被害者本人が幼児である場合の被害者側の過失とは、父母ないしは父母の被用者である家事使用人などのように被害者と身分上ないしは生活関係上一体をなすとみられるような関係にある者の過失をいうとしています。
    したがって、ご質問のようなケースでも、自動車事故につき、被害者である幼児の父母や家事使用人などに過失があった場合には、過失相殺が認められ、加害者の損害賠償額が減額される可能性があります。