携帯電話の方はこちらからお入り下さい。

3 損害賠償の範囲

(7) 過失相殺
(ル) 自動車事故と医療過誤が競合する場合の過失相殺

Q. 自動車事故により被害者が重傷を負い、病院に搬送されたところ医療過誤で死亡した場合の過失相殺の方法について教えてください
A
  • 過失相殺
    民法722条2項により、被害者に過失(落ち度)がある場合には、裁判所は、これを考慮して損害賠償額を算定することができます(過失相殺)。例えば、被害者に総額1000万円の損害が生じた場合でも、被害者側に3割の過失があれば、加害者の賠償すべき損害額は700万円になるということです。
  • 共同不法行為
    自動車事故と医療事故とのいずれもが被害者の死亡という一つの結果を招き、それぞれの事故から被害者の死亡という結果が発生することが通常あり得るという程度の関係(相当因果関係)がある場合には、加害車両の運転者と医師に共同不法行為が成立し、それぞれが被害者の損害の全額につき連帯して賠償する責任を負います。
  • 過失相殺の方法
    自動車事故と医療事故が競合する場合の過失相殺の方法は、それぞれ加害者や過失の内容は性質が異なるため、数人の過失により自動車事故が起きた場合の過失相殺の方法とは異なります。
    自動車事故と医療事故が競合する場合の過失相殺の方法につき、判例は、「各不法行為の加害者と被害者との間の過失割合に応じてすべきものであり、他の不法行為者と被害者との間における過失の割合を斟酌して過失相殺をすることは許されない」としました。
    すなわち、例えば、加害車両の運転者、医師、被害者の過失割合がそれぞれ5割、4割、1割の場合で、被害者に1200万円の損害が発生した場合、加害車両の運転者は1200万円×5割÷(5割+1割)=1000万円、医師は1200万円×4割÷(4割+1割)=960万円の限度でそれぞれ賠償責任を負うことになります。