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第1 交通事故の被害者の損害賠償請求

2 損賠賠償請求の相手方
(3) 下請人が事故を起こした場合の元請人

下請人が起こした自動車事故についての元請人の責任としては、民法上の使用者責任(民法715条、716条)と、さらに、人身事故の場合には運行共用者責任(自動車損害賠償保障法3条)が考えられます。
(イ) 使用者責任
元請人は、下請人に対する注文または指図に不注意があったときは、下請人がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負います(民法715条、716条)。この場合、被害者は、元請人の下請人に対する注文または指図に不注意があったことを立証しなければなりません。
(ロ) 運行共用者責任
下請人が作業を行うにあたって、元請人が配車の指図をし、随時現場作業の状況を見回り、運搬途中の監督をするなどして、下請人の運転を監督していた場合や、下請人が元請人の指示するコース、スケジュールに従い、必ず元請人の係員の立会いと荷物の確認を受けて、荷積み・荷下しを行うなど、専ら元請人の指揮監督に服して業務に従事していた場合に、元請人の運行共用者責任を認める判例があります。
他方、元請人が下請人に自動車を売却した後も、自動車検査証の使用者や自賠責保険の契約者が元請人の名義のままとなっていたものの、下請人が代金を完済すると同時にこれらの名義を変更する予定であったこと、下請人が専ら元請人の指揮監督に服するというような関係がなく、出資・役員派遣・事務所などの営業財産の貸与・自動車保管場所の提供等の事実がなく、両者間に密接な一体性がない場合に、元請人の運行共用者責任を否定した判例があります。
要するに、下請人が元請人の従業員と同様の立場にあると見られるような関係にあるとか、出資・役員派遣・営業財産の貸与・自動車保管場所の提供等の両者間の密接な一体性があるような場合であって、下請人による自動車の運行を元請人が間接的に支配管理しているといえる場合に、元請人の運行共用者責任が認められる傾向にあるといえます。