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第1 交通事故の被害者の損害賠償請求

2 損賠賠償請求の相手方
(6) 公の営造物の設置・管理者

(イ) 営造物責任とは
道路、河川その他の公の営造物の設置または管理に瑕疵があったために他人に損害を生じたときは、国または公共団体は、これを賠償しなければならないとされています(営造物責任。国家賠償法2条1項)。この営造物責任において、道路の設置または管理に瑕疵があったことにつき、国または公共団体に不注意があったかどうかは問われません(いわゆる無過失責任)。
また、国または公共団体に営造物責任が認められる場合に、道路等の営造物の設置または管理にあたる者と、営造物の設置または管理の費用を負担する者とが異なるときは、費用を負担する者も、損害賠償責任を負うとされています(国家賠償法3条1項)。
したがって、管理者は国土交通大臣であるものの、その費用は国と都道府県が負担している一般国道については、国のほかに都道府県に対しても損害賠償請求をすることができます。
(ロ) 「設置または管理の瑕疵」とは
「設置または管理の瑕疵」とは、道路の設置または管理が不十分であるために、道路が通常有していなければならない安全性を欠いていることをいいます。そして、「瑕疵」があったといえるかどうかは、道路の構造、用法、場所的環境および利用状況等のさまざまな事情を総合的に考慮して、ケースバイケースで判断されます。
したがって、国や公共団体が法令や内規に従って設置および管理していたとしても、個別具体的な事情によっては、「瑕疵」があったと認められる場合があります。
また、国や公共団体の予算上の制約があることは、通常、「瑕疵」を否定する理由にはならないとされており、道路の「瑕疵」が不可抗力の災害によって生じたとしても、災害の発生が事前に予測可能であり、道路管理者として危害の波及を防止するに必要な措置を講じることができたにもかかわらず、これを怠ったとすれば、道路管理上の「瑕疵」があるとする裁判例があります。
なお、裁判例上、「瑕疵」には、穴ぼこ、段差、路上障害物の放置、落石、地滑り、雪崩、排水設備の不備、側溝・マンホールの蓋の不具合、ガードレールの不備、証明設備の不備等があります。ただ、上述のように、「瑕疵」といえるかどうかは、あくまでもケースバイケースで判断されるので、都市部の国道や高速道路では「瑕疵」とされる穴ぼこでも、山間部の道路では多少の穴ぼこは「瑕疵」にあたらない場合もあります。