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第2 自動車保険

1 自賠責保険
(2) 自賠責保険と任意保険の関係

(イ) 自賠責保険と任意保険の関係
自賠責保険は自動車損害賠償保障法によって加入が義務づけられている(自動車損害賠償補償法5条)のに対し、任意保険は文字どおり加入は任意とされています。
自賠責保険は人身損害の填補を目的としますが(自動車損害賠償補償法11条1項、3条)、任意保険は人身損害のみでなく、物的損害の填補をも目的とします。
人身損害については、自賠責保険と任意保険が併存することになりますが、自賠責保険が第1次的に適用され、任意保険は自賠責保険の上乗せとして第2次的に適用されます。すなわち、自賠責保険だけでは損害の全額を填補するに足りない場合に、任意保険がその不足額を填補する役割を果たします。
(ロ) 保険金が支払われる場合
自賠責保険金が支払われるのは、自動車の運行によって人身事故が生じ被保険者が損害賠償責任を負う場合に限られますが(自動車損害賠償補償法11条、3条)、一方、任意保険金は、自動車の運行より広く「所有、使用または管理」に起因する対人事故により被保険者が損害賠償責任を負担する場合に支払われます。
任意保険の場合、被害者が記名被保険者、事故車両の運転者やそれらの父母・配偶者または子である場合には、保険金が支払われませんが、自賠責保険の場合には必ずしもこのような制限があるわけではありません。
(ハ) 被害者の直接請求
自賠責保険の場合、被害者は自賠責保険会社に対し、保険金額の限度で損害賠償額の支払いを請求することができます(自動車損害賠償補償法16条1項)。
任意保険の場合、被害者は、被保険者の損害賠償責任の確定(判決の確定、裁判上の和解、調停の成立等)等一定の要件の下で、保険会社が被保険者に対して填補責任を負う限度において、直接に損害賠償額の支払いを請求することができるに過ぎません。
(ニ) 仮渡金・内払金
自賠責保険の場合、被害者は自賠責保険会社に対し、治療費等当面の支出に充てるため、仮渡金の支払を請求することができます(自動車損害賠償補償法17条)。また、被保険者と被害者は、自賠責保険会社に対して、内払金の支払を請求することもできます。
任意保険の場合、損害賠償責任が確定していなくても、予想される損害賠償額の範囲内で、治療費等当面の費用の内払がなされることがあります。
(ホ) 自損事故
例えば、運転を誤ってガードレールに激突して運転者自身が怪我をした場合など、加害者のいない自動車事故を自損事故といいます。
自賠責保険は、他人の人身事故による損害を填補するためのものですから、自損事故については保険金は支払われません。
他方、任意保険の場合、全ての用途・車種の対人賠償保険契約に自損事故条項を付けるか、あるいは、人身傷害補償保険によって、自損事故についても保険金が支払われることになります。
(へ) その他
自賠責保険の場合、民法の原則どおり過失相殺が適用される任意保険の場合と異なり、被害者救済の見地から、過失相殺の適用が制限されています。
その他にも、自賠責保険と任意保険には様々な違いがありますが、このような相違は、任意保険が自賠責保険を補完し上乗せする役割を果たすものであることによります。